2018-02-12

    2018年2月12日(月) 「一大事」の前に

    ■何だか久しぶりに青い空を見たような気がする。
     天気予報では昨日は晴れの予定だった。だが予報は外れて午前中は粉雪が降るあいにくの天気。午後になって持ち直したが夕方まで曇り空。夜の天気予報では今日は寒さがぶり返し、天気もさほど良くない、特に日本海側を中心に大雪だと伝えていた。ところがいつものように午前7時半頃に目が覚めて外を見るに快晴だ。この時期(いや、この時期に限った話ではないが)天気予報というものは、やっぱりあまり当てにならない。話八分程度に信じた方が良さそうだ。
     そんな快晴の朝を迎えたが、いつものように朝のワンコの散歩のために外に出ると結構強烈な寒さに見舞われた。風があったわけではない。いや、ほとんど風はなかった。だが吐く息はそこそこ白い。こんなに息が白くなることを見るのが珍しくない冬は本当に久しぶりだ。十年、いや二十数年振りくらいのように思える。(実際のところ何年振りか、とんとわからないのだけれど……)

     いつものようにワンコとしばらく歩いていると、前方にご近所さんがいた。ご近所さんというのは僕が中学生だった頃のクラスメートだ。当時を思い出して言うと「クラスメートの女子」である。(今やお互い50代半ばになったから、もう「女子」も「男子」もないのだけれどね)僕と同じように彼女もラブラドール・レトリーバを飼っている。しかも2匹だ。十数年前にこの地域に戻ってきてワンコを飼い始めた頃の夏だったか、ワンコがしきりに外に向かって吠えていたから何だろうと思って見てみたら、こっちを向いて微笑んでいる夫婦連れと思われる男女がいた。歳の頃は僕と同じくらいで側には1匹のラブラドールがいた。
     そうか、うちの前を通ると自分たちが飼っている犬と同じ種類の犬がいるのを見つけ、それを眺めていたのだ。珍しい話ではない。僕も同じようなことをする。でもあまり見かけない人達だなあとも思った。周辺でラブラドールを飼っていると言えば僕の実姉くらいしか知らなかったのだ。
     その翌日だっただろうか、僕が夕方の散歩に出ると、同じようにラブラドールを散歩させている女性と出くわした。前日、僕んちのワンコを微笑ましく見ていた夫婦と思われる二人のうちの一人だ。同じ犬種であるよしみでか、僕はその女性と自然と挨拶を交わした。その女性は近所の家の人で、今は関東の方に住んでいるが昨日から休みなので夫婦で里帰りしているとのことだった。ワンコはやっぱりうちのワンコと同じラブラドール・レトリーバで同い年だった。ただ少々内臓の病気を抱えていて体格はうちのワンコよりも一回り小さかった。他に何を話したかはよく覚えていない。その時はそんなふうに軽くワンコの話をして別れた。
     しかし後日、家人からだったか当時中学生だった娘からだったか忘れたのだけれど、その家の人から僕がその家の人の娘さん(つまりは前出した女性)と同級生であると言われたと聞かされた。それを聞かされて僕は首を傾げた。まったく思い当たる節がなかったからだ。
     僕は改めてその家の名字を確かめた。その名字は珍しいものではないが、かと言って極めて単純な名字というわけでもなかった。例えば「山田」だとか「田中」といったよく見聞きする名字ではなかったのだ。僕はその名字を、頭の中にわずかに残る大昔の記憶の中に探した。男子ならともかく女子だ。そうなると記憶自体がそもそも少ない。しばらくの間考え込んでいたのだけれど、記憶というのは本当に不思議なもので、ずっと忘れていたものほどいきなり蘇る。
     僕はすぐに押し入れの中にしまい込んだままにしていた中学の卒業アルバムを取り出し、その中に頭の中に蘇った記憶に登場していた女子を探した。そしてその女子はすぐに見つかった。

    「ほんまや! あの人、中学時代の同級生やんけ!」

     彼女とは当時さほど親交がなかったから中学卒業以来(進学先も違っていたから)僕の記憶からまったくと言っていいくらい消えていた。その時の再会は約30年ぶりくらいだったのだけれど、そういう経緯で僕はまったく彼女に気が付かなかった。彼女はおそらく気が付いていたのだろう。僕の名字の珍しさから言えば、おそらく覚えたくもないのに覚えていたってところだと思うが……。それに僕が本人さんを前にしても、まったく気が付かなかったから、だから彼女も何も言わなかったのだろう。
     彼女は当時、ご主人さんの仕事の都合で関東の某都市に住んでおられ、盆や年末年始の休みになるとワンコを連れて帰省されていた。そしてその時期になると僕はご主人さんと一緒にワンコを連れて散歩をしている彼女を見かけたものだった。お二人にお子さんはおられず、その代わりと言っては何だがワンコを飼っていたようだった。時たま出くわすと、お互いにワンコのことを話したりもした。でも不思議とそれ以外のことは一切話さなかった。中学の同級生だということもお互い口にしなかった。別に理由はない。ただそこまで話すような間柄ではなかったのだ。
     それから数年後のことだ。僕はその頃になると彼女のお母さんと散歩途中に偶に出くわしたりすると立ち話をするようになっていた。彼女のお母さんもワンコが好きらしく、僕らを見かければたいてい声を掛けてくれていたのである。その時もいつものように僕らを見つけると笑顔で僕らに近づいてワンコを撫でまわし始めた。でもいつもと違い、その時は急に神妙な顔つきになって僕に話し始めた。

    「まだ50過ぎたばっかりだったんだけどね、旦那さん、この前脳出血でいきなり亡くなっちゃったの。それで向こう引き払ってこっちに戻ってくることになったのよ」 

     いきなりそんな話をされた僕は、いったい何の話なのか、さっぱりわからなくて、どう受け答えをすればいいのかわからず、「はあ」としか言えなかった。

    「ほんとにいきなりでね、バタッと倒れて、そのまま意識も戻らなかったんだって。あなたも気をつけてね、同じような年頃なんだから」

     そこでハタと気が付いた。

     それから2ヵ月くらい経った頃からか、彼女の姿をよく見かけるようになった。僕は彼女に何と話しかければいいかわからなかった。彼女の方も何だか僕と顔を合わすのが億劫のように見えた。よくわからなかったのだけれど変に同情されるのが嫌だったのだろうか。それとも出戻りのように見られるのが嫌だったのだろうか。
     だが彼女には悪いと思ったが、特に親しくもない間柄だったからか、はっきり言って僕にとっては管轄外の世界での出来事だったから正直なところ僕は特に何とも思わなかった。確かにお気の毒だとは思ったが、それ以上の感情もそれ以外の感想も僕にはなかった。
     今も前述したように偶にワンコの散歩の途中で彼女と出くわすことがあるが、その時にちょっとした会話(そのほぼすべてがワンコに関する会話)をする程度の間柄だ。ご主人さんが亡くなられた際のことはもちろん、お互いに今何をして生きているのかといった身の上話の類は一切していない。更に言うなら僕らが中学の同級生であるということも未だにお互い口にしたことがない。たぶんこれからもそうだろう。そしていつかワンコがいなくなったら彼女と偶に道端で出くわして少し話しをするといったこともなくなるだろう。まあそれでいいんじゃないかしらね。

    ■現在午前11時半を回ったところだ。もうすぐ前日書いた「ある一大事の類」が始まる。ああ何だか嫌になってきた。考えるだけで面倒臭い。でもだからと言ってスルーするわけにはいかないしなあ。
     さてさていったいどんな展開が待っているのやら????


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    イクタシバ イタル

    Author:イクタシバ イタル
    イクタシバ イタル
    いくたしば いたる 
    50代半ばのオッサン。
    今も現役のSE&PG。
    好き勝手なことを書いています。
    望んでいるのは結局穏やかな暮らしなのでしょう。

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